振り返ってみると、あえて「空間を使い切る」という発想を持ち出さないまでも、かつての日本の民家、たとえば飛騨高山の古民家を見ても、大きな屋根の下は屋根裏までが見える「現し」の構成をとっています。天井が高く開放的で、同時に木材が塞がれていないので劣化を防ぐことができます。また京都の町屋やお茶室のつくりも、巧みに屋根裏が使われていて狭さを感じさせません。こうした伝統がありながら、なぜ現代の建築は空間の利用に無関心になってしまったのでしょうか。
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それは、やはり戦後の建築の変容から始まっています。nLDK型住宅や平らな屋根コンクリート構造の普及、マンションの増加などによって、屋根の下に「空間」があるという認識が薄れ、平面プランニングだけが建築の中心として誤解されてしまったことが影響していると言えるでしょう。また、敷地の性質や建物の構造、土地環境の法的制限などによって建物ごとに設計が異なってしまうと、ハウスメーカーがつくる規格タイプの住宅はつくれない、経済性、効率性から見ても都合が悪い、という背景もあるかもしれません。