マンションは、大きなターミナル駅から歩いて3分ほどの極めて便利な場所にあった。工場跡地を利用した再開発事業の一環として建設され、マンションの敷地は公開空地となっていた。工場時代からあった樹木が一部残され、都市部の貴重な緑のスペースとなったのだ。この緑は、区分所有者に好評だった。通勤に便利な場所で、しかも緑が多く、鳥のさえずりも聞こえる。夏は木陰で涼むこともできる。さらに、公開空地の中には、コンビニエンスストアも設置され、住民は、敷地から出ないで生活することも可能だった。
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コンビニが入っている建物は、マンションの共用施設。この建物にコンビニ業者を誘致し、商売をしてもらって、管理組合にはコンビニから家賃収入が入る仕組みだった。マンション敷地内のコンビニは客が少なく、商売として成り立たないケースが多い。しかし、このマンションでは公開空地の人通りが多く、コンビニも喜んで商売をしてくれたのである。万事良好でいうことなし、と思われたのも最初の数力月だけ。入居後半年も経たないうちから管理組合の理事会に、いろいろな苦情が殺到するようになった。いわく、「排気音のうるさいオートバイに乗った若者が集まり、夜中まで騒いでいる」「特にコンビニのまわりに集まり、怖くて近づけない」「空き缶や、食べ物のゴミを所かまわず散らかし、専用庭やバルコニーに投げ込んでいく輩がいる」「マンションの壁に落書きされている」傍若無人な連中を追い出すことはできないのかという声が高まり、理事会に有志を加えた話し合いが何度も行われた。